症状と考えられる病気

悪性胸膜中皮腫

肺は胸膜という膜に被われています。その胸膜にできる悪性腫瘍です。石綿繊維(アスベスト)を吸入することが原因と考えられています。進行すると胸膜が全体的に厚くなり、胸水がたまったりする事で肺がうまく動かず苦しくなったり、腫瘍の進展による痛みなどが起こり、さらに進行すると肺がんなどと同じように体が衰弱し死に至る病気です。頻度としては肺がんの100分の1程度と言われております。
診断は、異常のある胸膜の組織を採取して病理検査を行い診断をしますが、肺がんと違い小さな組織では診断が困難なことが多いため、手術である程度の大きさの組織を取ることが必要となることもあります。
治療としては中皮腫のある方の胸膜を肺と共にすべて摘出する胸膜肺全摘手術がありますが、片方の肺をすべて切除してしまうため負担が大きく、術後に大きく体が弱ってしまうことなどが欠点として挙げられます。抗がん剤に関しては長らく効果的なものがなかったものの、10年ほど前よりシスプラチンとペメトレキセドの組み合わせが、腫瘍の縮小が得られ病状のコントロールがある程度可能となっています。しかしながら依然として肺がん以上に経過の悪い悪性腫瘍であります。石綿健康被害救済制度があり、胸膜中皮腫の確定診断が付いた場合は医療費の補助が受けられるなどの救済処置が受けられる制度があります。